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はじめに(当ブログについて)
山崎行政書士事務所は、
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法律・手続きに関する課題をサポートする行政書士事務所です。
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新規開業や事業拡大の場面で避けて通れない
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専門的な知識と実務経験をもとに支援しています。
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霞が関駅、陽を殺す時刻表
――八時十二分発、死神行き―― ※駅構内・時刻・運行は物語上の架空設定です。 霞が関駅の夜は、地上の東京より冷たい。 官庁街の灯が地上で白く燃え尽きたあと、地下には人間の疲労だけが沈殿する。靴音、改札機の電子音、遠くでうなる列車の気配。誰もが帰るために歩いている。だがその夜だけは、誰かが死ぬために、そこへ来ていた。 午後八時十二分。 千代田線ホームの端で、男がベンチに座っていた。 紺のスーツ。膝の上に革鞄。頭は少し傾き、眠っているように見えた。帰宅客の誰もが一度は彼の前を通り過ぎ、誰もが見なかったことにした。都会では、疲れ切った人間は風景の一部になる。 だが、ホーム清掃員の朝倉ひかりだけは足を止めた。 男の靴先が、そろっていなかった。 眠る人間の足ではない。倒れかけた何かを無理に座らせたような、奇妙な角度だった。 「お客さま?」 ひかりが声をかける。 男は返事をしなかった。 彼の胸ポケットから、一枚の紙がのぞいていた。 時刻表だった。 ただし、どこの駅にも貼られていない、黒いインクで印刷された不気味な時刻表。 そこには
山崎行政書士事務所
5月15日読了時間: 14分


午前0時00分、吉祥寺駅はまだ殺している
※実在の駅名を舞台にしたフィクションです。時刻・運行・設備・事件はすべて架空です。 雨の夜、吉祥寺駅は濡れた獣のように光っていた。 中央線のオレンジ色の帯が、ホームの端から端へ流れていく。人々は傘を閉じ、スマートフォンを見つめ、改札へ吸い込まれていく。誰もが急いでいた。誰もが自分の時間だけを守ろうとしていた。 二十一時七分。 北口へ向かう階段の踊り場で、男が倒れた。 最初に気づいたのは、花屋のアルバイト帰りの女子高生だった。彼女は悲鳴を上げ、抱えていた白いカスミソウを床に落とした。 男の胸元には、一枚の白いカードが差し込まれていた。 そこには、黒いインクでこう印字されていた。 21:07 快速東京行き人間は遅延する。時刻表は死なない。— MAX 警視庁捜査一課の荒瀬剛士が現場に着いたとき、吉祥寺駅の空気はすでに変わっていた。 通勤客のざわめきはまだ残っている。電車はまだ走っている。発車メロディも、案内放送も、コンビニのレジ音も、何一つ止まっていない。 だが荒瀬にはわかった。 駅が、息を潜めている。 「被害者は笹原恭一、五十二歳。鉄道系の動画配信者
山崎行政書士事務所
5月15日読了時間: 11分


星ヶ丘駅で太陽を殺せ――0分遅れの殺人時刻表
※本作はフィクションです。作中の列車時刻・施設描写は物語上の創作です。 名古屋市営地下鉄東山線、星ヶ丘駅。 地上では星ヶ丘テラスの灯が坂道に淡くにじみ、買い物帰りの親子や学生たちが、冷たい夜風に肩をすくめて歩いていた。だが地下へ降りると、空気は別のものになる。 白い蛍光灯。黄色い点字ブロック。ホームに反響する靴音。そして、すべての人間を同じ速さで運んでいく、時刻表という名の冷たい神。 午後八時十七分。 下り藤が丘方面の電車が星ヶ丘駅を出た瞬間、改札外のコインロッカーのひとつが内側からゆっくり開いた。 中に倒れ込んできたのは、学習塾講師の男だった。 喉元には血ではなく、赤いインクで一本の線が引かれていた。まるで、時刻表の不要な列を消すように。 ロッカーの扉の裏には、黒い油性ペンでこう書かれていた。 次発、二十時二十三分。警察諸君、乗り遅れるな。――MAX 愛知県警捜査一課の火野丈一は、その文字を見た瞬間、怒りで奥歯を鳴らした。 「ふざけやがって」 火野は四十八歳。昔ながらの刑事だった。聞き込みは足でやる。犯人は目で見る。机上の理屈より、人間の汗と沈
山崎行政書士事務所
5月15日読了時間: 12分


東山線午前零時十三分、死体だけが定刻に笑う
※作中の時刻・運行設定・事件はすべてフィクションです。 東山線の黄色は、名古屋の地下に差す小さな朝日の色だと、中村署の刑事・日比野昇は思っていた。 だが、その夜だけは違った。 黄色は、遺体の胸に貼られた付箋の色だった。 午後九時十七分。中村公園駅に到着した藤が丘行きの三号車で、スーツ姿の男が座ったまま動かなくなっていた。 乗客は最初、眠っていると思った。 誰も声をかけなかった。 終電間際の地下鉄では、疲れた人間が座席で首を折るように眠ることなど珍しくない。スマートフォンを握った手。膝に置かれた鞄。少し開いた口。すべてが「よくある帰宅途中の人」に見えた。 だが、男の胸元には黄色い付箋が貼られていた。 そこには、細い黒字でこう書かれていた。 次は伏見。君たちは時刻表しか読めない。 「どけ!」 日比野は規制線をくぐり、車内に飛び込んだ。 「中村署だ。全員、車両から離れて!」 相棒の椎名凜が、若い駅員を抱えるようにして車外へ下がらせた。駅員は顔面蒼白で、何度も「寝てると思ったんです」と繰り返していた。 日比野は男の首筋に指を当てた。 冷たい。...
山崎行政書士事務所
5月15日読了時間: 11分


死体はのぞみより速く走る
――東海道新幹線・MAXアリバイ連続殺人―― ※作中の列車番号・時刻は架空です。 東海道新幹線の時刻表には、空白がある。 東京、品川、新横浜。その先に並ぶ小田原、熱海、三島、新富士、静岡、掛川、浜松――。 停まる列車には時刻がある。停まらない列車には、時刻がない。 けれど、列車はそこを通っている。 人間の目から消された数分。紙の上では存在しない場所。その空白に、犯人は死体を置いた。 最初の遺体は、新富士駅の新幹線改札内にある多目的ロッカーから見つかった。 被害者は元病院長、柴田邦彦。六十九歳。背広の胸ポケットには、折り畳まれた小さな時刻表が差し込まれていた。 赤いペンで囲まれていたのは、架空のように見える一行。 のぞみ404号 東京18:21発 名古屋19:58着 余白には、几帳面な文字でこう書かれていた。 死体は、のぞみより速く走れるか? 二人目の遺体は三日後、静岡駅の新幹線構内で見つかった。 被害者は弁護士、鳴海圭吾。五十八歳。掌に握らされていた紙片には、また同じ筆跡があった。 清水署の熱血さんへ。時刻表を信じるな。人間を信じるな。俺のIQは
山崎行政書士事務所
5月15日読了時間: 12分


静岡駅、死体は七分遅れて発車した
※本作はフィクションです。作中の列車時刻・駅設備・捜査内容は創作上の設定です。 午前五時十七分。 JR静岡駅の一番線に、朝一番の冷たい光が差し込んだ。 発車ベルが鳴った瞬間、改札内の大型時刻表の下で、清掃員の女が短く悲鳴を上げた。駅員が駆け寄る。通勤客が足を止める。ホームへ向かう階段の上で、誰かがスマートフォンを落とした。 時刻表の真下に、男が座っていた。 眠っているように見えた。だが、胸元に挟まれた切符には、赤いペンでこう書かれていた。 「5:17 発車済」 男のスマートフォンが、突然震えた。 画面に表示された差出人名は、たった三文字。 MAX 駅員が恐る恐る再生すると、スピーカーから若い男の声が流れた。 「おはよう、清水署の刑事さん。人間は遅れる。電車は遅れない。死体はもっと正確だ」 その声は笑っていた。 「次は、二番線。二十時四十四分。時刻表を信じて走れ」 清水署強行犯係の望月烈は、静岡駅のコンコースに着くなり、拳を握りしめた。 「ふざけやがって……」 背広の下で肩が盛り上がる。短く刈った髪、日に焼けた顔、声は大きい。熱血という言葉を貼りつ
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5月15日読了時間: 12分


死亡時刻表――新静岡駅、次の発車はあなたです
※本作の人物・事件・時刻表はすべて架空です。 1 始発前の遺体 新静岡駅の朝は、音から始まる。 改札機が眠りから覚める電子音。清掃員のモップが床を撫でる音。売店のシャッターが、ぎい、と喉を鳴らす音。そして、まだ誰も乗っていないホームに流れる、始発案内の無機質な声。 ――まもなく、一番線に、五時四十八分発、新清水行きが到着いたします。 その声が終わった瞬間、改札前の大型時刻表が、ふっと一度だけ暗くなった。 清掃員の老女、滝田フミは顔を上げた。停電ではない。照明は生きている。自動改札も生きている。だが、頭上の電光掲示板だけが黒く沈み、次に点いた時、そこにはあり得ない文字が流れていた。 次の発車は、死亡です。 フミは、冗談だと思った。 駅ビルの広告担当者がまた悪趣味なキャンペーンでも始めたのだろう、と。 だが、その下に置かれていた黒いスーツケースを見た瞬間、彼女の喉は凍りついた。 スーツケースのファスナーは半分開いていた。中から、人間の手が一本、床へだらりと垂れていた。 その手首には、安物の腕時計が巻かれていた。 針は、五時四十八分で止まっていた。..
山崎行政書士事務所
5月15日読了時間: 16分


日吉町駅0時00分発、太陽は二度死ぬ
――時刻表アリバイ連続殺人―― ※実在の駅名を舞台にしていますが、登場人物・事件・時刻表・警察組織の描写はすべて創作です。 静岡鉄道日吉町駅に、午前0時00分発の電車など存在しない。 それなのに、三人目の死体の胸には、赤いペンでそう書かれた時刻表が置かれていた。 日吉町 0:00発太陽行き乗客一名 清水署刑事・風見大吾は、鑑識が張ったブルーシートの前で、拳を握りしめた。 夜明け前の駅は、息をひそめていた。線路は黒く濡れ、ホームの白線は月明かりに冷たく光っている。どこか遠くで始発の準備をするモーター音が低く唸り、駅名標の「日吉町」という文字だけが、妙に明るく浮かんで見えた。 「また時刻表か……」 若手刑事の三枝澪が、青ざめた顔でつぶやいた。 この一週間で、三人が死んだ。 一人目は、駅前再開発会社の元幹部・新堂。二人目は、十五年前に日吉町近くの救急搬送記録を書き換えた疑いのある医師・八木。三人目は、当時の市議・鳥羽。 三人とも、日吉町駅に関わる古い事件に名前があった。 そして三人とも、殺害推定時刻に、犯人らしき男は電車の中にいた。...
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5月15日読了時間: 12分


次の電車で、あなたの死亡時刻を訂正します
――静岡鉄道音羽町駅・時刻表アリバイ殺人―― ※本作はフィクションです。作中の時刻表・運行情報・駅設備・捜査手順は架空の設定です。 静岡鉄道、音羽町駅。 朝のホームは、まだ夜の湿り気を引きずっていた。無人に近い小さな駅の時刻表のガラス面に、赤い油性ペンで一行だけ、あり得ない文字が書き足されていた。 五時十三分発 遠野修 死亡 その下で、遠野修はベンチに座っていた。 背広の襟はきちんと整えられ、膝の上には古びた駅員帽が置かれている。目は閉じていた。眠っているように見えた。けれど、始発を待つ高校生が「おじさん」と肩に触れた瞬間、遠野の体は音もなく横へ崩れた。 そのとき、駅のスピーカーから女とも男ともつかない声が流れた。 「おはようございます。死は定刻通り到着しました」 乗客たちは凍りついた。 声は続けた。 「清水署の火村刑事へ。あなたの熱血で、時刻表を燃やせますか」 最後に、笑い声が聞こえた。 まるで、誰かが殺人を遊園地のアトラクションのように楽しんでいる笑いだった。 清水署強行犯係の火村慎吾は、現場に着くなり、時刻表の前で立ち止まった。 「ふざけや
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5月15日読了時間: 12分


柚木駅0分発、死体行き――時刻表は犯人の顔で笑う
※作中の列車時刻・設備・捜査体制は物語上のフィクションです。 静岡鉄道柚木駅のホームに、雨はまっすぐ降らない。 夜の灯りに斜めに切られ、線路の銀を叩き、券売機のガラスを震わせ、ホーム端の時刻表を濡らしていく。 その時刻表の前に、女が立っていた。 彼女の名は桐島恵子。四十二歳。地元の不動産会社に勤める事務員だった。 彼女はスマートフォンを握ったまま、震える指で画面を見つめていた。 『次の新静岡行きに乗れ。乗らなければ、君の秘密を全員に送る』 差出人は不明。 ただ、文末に奇妙な署名があった。 ――IQ MAX ホームの向こうから、列車の前照灯が雨を裂いて近づいてくる。 桐島は息を呑んだ。 背後で、誰かが笑った。 「時刻表って、すごいだろう?」 男の声だった。若く、静かで、ぞっとするほど楽しそうだった。 「人間は嘘をつく。時計も狂う。だが時刻表は、人を殺しても黙っている」 列車が柚木駅へ滑り込む。 ドアが開く。 雨の匂い、ブレーキの焦げた匂い、濡れた鉄の匂い。 次の瞬間、ホームの監視カメラが白く乱れた。 午後九時十七分。...
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5月15日読了時間: 13分


長沼駅午前五時十七分、太陽を殺す時刻表
※実在の地名・駅名を舞台の着想として用いたフィクションです。登場人物・事件・団体・設定はすべて架空です。 雨は、線路の匂いを濃くする。 静岡鉄道長沼駅のホームには、夜の雨が斜めに吹き込み、黄色い点字ブロックの上で細かく跳ねていた。最終に近い電車が去ったあとの静けさは、街の静けさとは違う。線路だけがまだ、さっきまで人を運んでいた熱を覚えている。 その熱の残るホームの端に、女の遺体が横たわっていた。 白いブラウス。紺のスカート。胸には、長沼駅の時刻表のコピーが安全ピンで留められている。赤い蛍光ペンで囲まれていたのは、午前五時十七分。 紙の余白には、細い万年筆の字でこう書かれていた。 ――次は、太陽が死ぬ。 清水署刑事課の風見烈は、規制線をくぐった瞬間、奥歯を噛み締めた。 「ふざけやがって」 鑑識のライトが雨粒を銀色に照らす。駅員が震えた声で説明した。遺体は近くの商店街で花屋を営む大石路子、五十八歳。毎朝、駅前に小さな花瓶を置いていた女だった。始発を待つ学生に「今日も行ってらっしゃい」と声をかける、そういう人間だった。 風見は知っていた。彼女の店で、妻
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5月15日読了時間: 16分


古庄駅6時13分――陽は死体の上に昇る
※作中の列車時刻・駅設備・警察組織の描写は、物語上の架空設定です。 1 始発前のホーム 夜明け前の静岡鉄道古庄駅は、まだ人の声よりもレールの冷たさのほうが濃かった。 午前五時五十八分。 清水署強行犯係の刑事、風間仁は、現場保存の黄色いテープをくぐった瞬間、胃の奥が凍るのを感じた。 上りホームのベンチに、男が座っていた。 いや、座らされていた。 灰色のスーツ。膝の上に折り畳まれた古い時刻表。胸ポケットには、赤いペンで丸をつけられた一枚の紙片が差し込まれていた。 そこに書かれていたのは、ただ一行。 古庄発 6:13 「死後硬直は浅い。発見の直前です」 鑑識の声を聞きながら、風間は男の顔を見た。 元静鉄職員、青山忠司。七年前に退職し、いまは小さな不動産会社を営んでいた男だ。 相棒の若い刑事、由比千尋が時刻表を拾い上げようとして、手袋の指を止めた。 「風間さん、これ……」 時刻表の裏に、細い字があった。 清水署の皆様へ。次の停車駅は、死です。遅延なき捜査を期待しています。――DIA-MAX 「ダイヤマックス……?」 千尋が眉を寄せる。 風間は奥歯を噛んだ
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5月15日読了時間: 14分


新清水駅零時零分発 死体だけが帰るヤングランド
※実在の地名を含みますが、事件・人物・時刻表・施設設定はすべて物語上のフィクションです。 新清水駅の夜は、海の匂いがする。 潮を吸った風がホームの屋根をくぐり、発車案内板の青白い光を揺らす。改札を抜ける会社員、部活帰りの高校生、買い物袋を抱えた老女。誰もがそれぞれの終点へ向かっていた。 その夜も、いつも通りのはずだった。 二十一時十七分。 駅員の佐久間湊が、落とし物の赤い風船に気づいた。風船は改札脇のベンチに結ばれていた。白い油性ペンで、子供の字のようにこう書かれていた。 ヤングランド行き まもなく発車します 湊は眉をひそめた。 清水ヤングランド。 二十年以上前に閉園した、小さな遊園地。観覧車と子供向けの汽車が売り物だったが、ある事故を境に、地図からも人々の会話からも消えていった場所だ。 湊が風船の紐をほどこうとした瞬間、ホームの奥で悲鳴が上がった。 清水署の刑事、望月烈が現場に駆けつけたとき、駅の待合室は規制線に囲まれていた。 被害者は、真鍋修司。かつて清水ヤングランドの支配人だった男だ。 彼はベンチに座らされたような姿で息絶えていた。胸元には
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5月15日読了時間: 15分


草薙駅発、死体は次の列車に乗る
※作中のダイヤ・施設配置は創作上の演出です。 雨の夜、静岡鉄道草薙駅のホームに、発車ベルがいつもより長く響いた。 二十一時十三分発、新静岡行き。 白いライトを濡らした電車が滑るように動き出し、傘を畳んだ乗客たちが改札へ流れていく。その人波の最後尾で、駅員の山岸が妙なものを見つけた。 ベンチの下に、赤い紙片が挟まっていた。 拾い上げると、そこには子どものように丸い字で、だが背筋を冷やすほど冷静に、こう書かれていた。 ――清水署へ。――二十一時十三分発に、犯人は乗っている。――時刻表は嘘をつかない。――MAX。 山岸が顔を上げた瞬間、駅裏の駐輪場から悲鳴が上がった。 倒れていたのは、元駅員の富樫昭彦。雨合羽の胸元は濡れていたが、雨だけではなかった。 清水署の刑事、望月烈が現場に着いたのは、十五分後だった。 「ふざけやがって……」 望月は紙片を握り潰しそうになった。四十二歳。熱血という言葉が時代遅れになっても、彼だけはまだ信じているような男だった。人が倒れたと聞けば走る。泣く子がいれば膝をつく。犯人が笑えば、奥歯を噛み砕く。 若い相棒の朝比奈澪が、冷静
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5月15日読了時間: 8分


桜橋駅、死者だけが始発に間に合う
※本作はフィクションです。実在の駅名を舞台にしていますが、人物・事件・時刻表・運行描写はすべて物語上の架空設定です。 午前五時十三分。 静岡鉄道、桜橋駅。 始発を待つホームに、男は座っていた。 ベンチの端に背筋を伸ばし、膝の上には折りたたまれた時刻表。まるで、次の電車を待っているだけの通勤客に見えた。けれど、その目は乾いた朝の空を映したまま、二度と瞬きをしなかった。 駅員の悲鳴が、まだ薄暗いホームを裂いた。 清水署刑事課の夏目陽介が駆けつけた時、桜橋駅の空気は冬の水のように冷えていた。線路の向こうで、朝焼けがわずかに街の屋根を赤く染めている。踏切の警報音が遠くで鳴り、電車が入ってくる音が、死体の沈黙をいっそう残酷にした。 「身元は?」 夏目は息を切らして訊いた。 鑑識の久世澪が、手袋をはめた指で胸元の身分証を示した。 「松橋吾郎。五十八歳。元・不動産会社役員。死亡推定時刻は昨夜から未明。詳しくは司法解剖待ちです」 「未明って……じゃあ、こいつは何時間もここに座ってたのか」 「座らされていた、でしょうね」 澪が時刻表を開いた。 赤い丸がついていた。
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5月15日読了時間: 13分


狐ヶ崎発、死体は終電に笑う――ヤングランド0番線殺人時刻表
※この物語はフィクションです。実在の地名・駅名を舞台にしていますが、人物・事件・時刻・施設描写は創作です。 終電五分前の狐ヶ崎駅は、雨に濡れた鉄の匂いがした。 静岡鉄道のホームに、電車を待つ客は少なかった。部活帰りの高校生、傘を抱いた会社員、イヤホンをして俯く若い女。誰もが自分の明日だけを見ていた。 だから、ベンチに座っている男が死んでいることに、最初は誰も気づかなかった。 男は背広姿だった。両手を膝に置き、背筋を伸ばし、まるで電車を待っているように見えた。だが顔には、狐の面がかぶせられていた。 狐の口は赤く笑っていた。 胸ポケットには、古びた半券が差し込まれていた。 狐ヶ崎ヤングランド ご招待券 その裏に、黒いペンで時刻が書かれていた。 二十一時十七分。新清水行き。 清水署刑事課の望月竜吾が現場に着いたとき、雨はさらに強くなっていた。 「ふざけやがって……」 望月は拳を握りしめた。 彼は四十二歳。声が大きく、走るのが早く、怒るのはもっと早い。若手からは煙たがられ、遺族からはよく泣きつかれた。事件現場で冷静になれない刑事は二流だ、と何度も言われて
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5月15日読了時間: 13分


死体は終電より先に着く――静鉄零分アリバイ連続殺人
※本作はフィクションです。作中の事件・人物・時刻表・描写はすべて創作であり、実在の鉄道会社・警察組織・地域とは関係ありません。 最初の死体は、静岡鉄道・新清水駅のホーム端で発見された。 午後八時十七分。 清水の夜は湿っていた。巴川のほうから流れてくる潮の匂いに、雨上がりのアスファルトの匂いが混じっている。二両編成の電車がホームを離れた直後、駅員が悲鳴を上げた。 ベンチの下に、男がいた。 背広姿。五十代。胸元には折り畳まれた小さな時刻表が差し込まれていた。 赤いペンで、ひとつの時刻が囲まれている。 新静岡発 二十時十七分。新清水着 二十時十七分。 あり得ない時刻だった。 どんな電車も、静岡から清水まで零分では走れない。 清水署刑事課強行犯係の清見岳人は、その紙片を見た瞬間、背筋に冷たいものが走るのを感じた。 「……ふざけやがって」 清見は三十六歳。短く刈った髪、日焼けした顔、すぐ拳を握る癖。上司からは「熱血が服を着て歩いている」と言われる。だが彼の怒りは、ただの激情ではなかった。 時刻表。 静鉄。 この二つの言葉は、彼にとって父の記憶そのものだった
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5月15日読了時間: 11分


御門台駅、終電は死体を乗せて笑う
※この物語はフィクションです。人物・事件・時刻表・運行描写はすべて創作です。 雨の夜、静岡鉄道・御門台駅のホームに、男が座っていた。 背筋を伸ばし、両手を膝に置き、まるで終電を待つ勤め人のように。 だが、彼の胸には細長い紙が刺さっていた。 それは刃物ではない。 駅前の掲示板から剥がされた、時刻表の一片だった。 赤いペンで、こう書かれていた。 二十時十三分。上り。死。 男は死んでいた。 清水署の刑事、梶原烈は、雨を吸ったスーツのままホームに立ち、遺体の前で拳を握った。 「……ふざけやがって」 彼は熱血漢だった。怒鳴る。走る。空振りもする。だが、誰よりも遺族の顔を覚えた。誰よりも、被害者の名前を忘れなかった。 死んでいた男は、黒田省吾。かつて駅周辺の商店会長を務めた老人だった。 その夜、御門台駅の防犯カメラには、容疑者らしき人物が映っていた。 黒いコート。銀色の傘。細い体。顔は雨粒と影で潰れている。 その人物は、二十時十三分ちょうど、御門台駅とは離れた駅の改札を通過していた。 ICカードの記録もあった。 さらに、ホームのカメラにも、黒いコートの男が電
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5月15日読了時間: 9分


人は定刻に死ぬ――静岡鉄道0分遅延連続殺人
※本作はフィクションです。作中の時刻表・運行描写・事件・人物はすべて架空のものです。 静岡鉄道の終電が、新清水駅のホームに滑り込んだ夜だった。 雨は巴川の黒い水面を叩き、港から吹き上がる風が、駅前の濡れたアスファルトを銀色に光らせていた。いつもなら電車を降りる乗客たちは足早に改札へ向かう。だが、その夜、最後尾の車両だけは誰も近づこうとしなかった。 車内の隅、優先席の前。 男が座っていた。 背広はきちんと整えられ、膝の上には古い紙の時刻表が置かれている。眠っているように見えた。だが、首筋に巻かれた赤い糸だけが異様だった。 赤い糸の先には、小さな紙片が結ばれていた。 そこには、几帳面な文字でこう書かれていた。 第一問。静岡鉄道は何分遅れた?答え――0分。 清水署の刑事、相良陽介が現場に着いたとき、雨はさらに強くなっていた。 「被害者は河合健三、六十八歳。元・鉄道ダイヤ編成担当。死亡推定時刻は午後九時十七分前後」 若い相棒の由比七海が、濡れた手帳を押さえながら報告した。 陽介は車内に残された紙の時刻表を見下ろした。赤い丸で囲まれているのは、架空の作中ダ
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5月15日読了時間: 11分


新清水行き、死体だけが定刻だった
※作中の時刻・ダイヤ・事件・人物はすべて架空です。 雨の夜、静岡鉄道のレールは黒い蛇の背中のように光っていた。 新静岡駅を出た二両編成の電車が、ビルの谷間を抜け、日吉町、音羽町、春日町へと進んでいく。窓には疲れた会社員、塾帰りの少年、スーパーの袋を抱えた老女の顔が、蛍光灯の明かりに白く浮かんでいた。 その同じ時刻。 長沼駅からほど近い古い時計修理店で、店主の大場政雄が死んでいた。 壁じゅうに掛かった時計は、すべて同じ時刻で止められていた。 二十時十四分。 死体の胸には、白い紙がピンで留められていた。 新静岡発 二十時零六分長沼着 二十時十四分人間は遅れる。死だけは定刻。 清水署強行犯係の刑事、火浦剛士が現場に着いた時、店の奥ではまだ振り子時計が一つだけ動いていた。 かち、かち、かち。 その音が、まるで死者の歯ぎしりのように聞こえた。 「ふざけやがって……」 火浦は濡れたコートの肩を払うことも忘れて、紙片を睨みつけた。 彼は四十二歳。短気で、声が大きく、署内では「昭和の火薬庫」と呼ばれている。だが事件現場では誰よりも静かだっ
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5月15日読了時間: 12分

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